目によいものといえばブルーベリー…ですが、漢方では宝石の「真珠」を使うことをご存知ですか・・・?
その名も「真珠散(しんじゅさん)」。西暦1000年ごろの中国に生まれ、江戸時代に日本へ伝わって以来、いまも中国でも日本でも使われ続けている、目の悩みにオールマイティな処方です。今回はその歴史と、主役である真珠のはたらきを詳しく解説していきます。
▼今回お話ししていること
・目の漢方といえばこれ ―「真珠散」という処方
・鯉の肝、八つ目うなぎ、菊の花 ― いったい何が入っているのか
・昔は目薬のように使い、いまは飲む
・江戸時代の新潟から全国へ ― 代理店販売という画期的な仕組み
・宝飾に使う玉と、貝殻の内側。表示が「貝カルシウム」になる理由
・目・心・肌 ― 真珠に伝えられてきた三つのはたらき
まず面白いのが歴史です。日本に伝わったのは江戸時代。いまの新潟県あたりで真珠散がつくられ、各地の有力者に取次店を依頼する、いまでいう代理店販売の仕組みで全国へ広がりました。富山の置き薬が主流だった時代に、年に一度使用人を代理店へ派遣して代金を回収し、在庫が切れれば飛脚や船便で届ける――薬の業界にとっても画期的な仕組みでした。さらに、その利益は子どもたちが医学を学ぶために使われ、そこから名のある医師も生まれたのだそうです。
そして主役の真珠。宝飾に使うのは玉の部分ですが、貝殻の内側も同じように七色に光っていて、実は成分が同じ。そこで玉は宝飾へ、内側を削ったものを漢方へと、無駄なく使い分けているのです(製品の表示が「貝カルシウム」となっているのはこのため)。伝えられてきたはたらきは三つ。ひとつは目を明らかにし、かすみや濁りを澄ませること。ふたつめは心を落ち着かせることで、寝つきが悪いときや頭が興奮しているときに用いられてきました。三つめが肌で、「美肌の生薬」と記した書物もあります。実験では、皮膚のコラーゲンをつくる線維芽細胞でコラーゲンの合成が高まること、紫外線を浴びたときの炎症がやわらぐことが確かめられているといいます。
昔の人は、五臓六腑の「肝」と目のつながりに注目し、肝に入りやすい真珠で目を支えると考えました。次回は、真珠散のもう一つの主役「鯉の肝」などをご紹介します。ぜひ続けてお聴きください。
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